パートナー会社を対象とした運行管理に関する講習会を開催 <その2>

会社とドライバーを救うのは「安全風土」づくり

その1より続く>

──このあと、丸山室長は、居眠運転による事故でドライバーが実刑判決を受けた例を紹介するとともに、ドライバーや職場における居眠り運転防止対策のポイントをあげました。

■もっとも重罪になるのはドライバー自身

丸山これはトラックドライバーの居眠り運転による東名高速道路での3人死亡事故の判決です(名古屋地裁2011年7月)。ドライバーは禁錮5年4か月の実刑判決を受けています。

 

 判決文では

「サービスエリアがあるのを認識しながら運転を中止しておらず、対応に甘さがあった。過失は職業運転手として誠に重大」と厳しく批判しています。「過密労働という事情はあったものの、実質上、運転行程や休憩時間は被告の判断に任されており、刑事責任を軽くできない」という判断でした。

 

 他の判例では、会社側の責任を追及され、過労運転の下命でトラック会社経営者が実刑を受けた判決があります。それでも、運転していたドライバーの刑罰の方が重いというのが実態です。
 眠気を我慢して頑張っても、最後にはドライバー自身が一番大きな責任を負います。このことをドライバーに強調し、会社とドライバーを救うのは勇気を持って寝る風土づくりであることを肝に銘じてください。

■早めの休憩で眠気防止

丸山:ドライバーへの居眠り防止対策として最近指導しているのが、90分リズムで人間の身体が活動しているという話です。

 ウルトラ・ディアンリズムと呼ばれるのですが、授業や講習でも1時間半が限度のように、90分以上集中して作業するのは難しい。運転も本来90分に1回休憩すると、「うっかりミス」や疲労の防止にもなります。

 

 また、一時的に眠気を防ぐ対策としては、強い光を浴びるというのも効果的です。

 夜間、周囲が暗くなると人間の脳から「メラトニン」というホルモンが出て眠気を誘いますが、強い光はホルモンの分泌を抑制するからです。高速道路のSAで休憩したら、明るい自動販売機の前に行って体を動かすといった対策も有効です。

 

■職場の居眠り運転防止対策4つのポイント

丸山次に職場で居眠り運転防止対策をすすめていくポイントを整理してみました。

 

①点呼の徹底
 1つ目は、対面点呼をしっかりすること。体調管理のためには毎日の点呼が欠かせませんし、点呼は「安全風土」を構築する鍵となります。
 ある会社では、対面点呼をする運行管理者が不在のとき、補助者として女性事務員を任命し、夜半の電話点呼を実施しています。電話では不十分と思うかも知れませんが、電話をしないよりはした方がよく、これも1歩前進です。とにかく、やるべき点呼を実施するということが原点です。

休息期間の把握

 2つ目は、休息期間の把握をしっかりして、的確な指示をすること。勤務と勤務の間は連続8時間の休息を確保しましょう。当社では一番危険な0時から6時までの「魔の時間帯」はなるべく寝るようにスケジュール指示をします。仮眠は昼寝のような「うたた寝」なら30分以内とします。

 眠る場合は、1~2時間程度の細切れ仮眠は中途半端で疲労度がかえって増すので、4時間以上のまとまった仮眠をとるように指示します。
 4時間以上の睡眠であれば、休憩時間ではなく休息期間(分割)としてカウントできますから拘束時間にも響きません。運行管理上もその方が望ましいのです。 

 

③「勇気を持って寝る」

 3つ目は、さきほど述べた「勇気を持って寝る」ことを職場の中で言える雰囲気にすることです。
 
「勇気を持って寝るドライバー」こそ真に優秀なドライバーであり、延着しても上司がとがめないことです。
 
④実際の事故事例の教育

 4つ目は、教育のなかで実際の事故について情報を共有すること。無理をして死亡事故を起こした場合、ドライバーには禁錮刑が待っています。本人は解雇、家族は離散という事例を知れば、ドライバーも真剣に考えるようになります。

■運転者への「指導・監督」の記録を保管する

──なお、関越道における高速ツアーバス事故を受け、5月より貸切バス会社に対する運輸局の監査が始まっています。

 

 丸山室長は、バス事業者の次にはハイ・タク業者、そしてトラック運送事業者への監査も厳しくなることは間違いないとして、点呼記録簿などを整備するとともに、「指導・監督の指針」に沿った安全教育をすすめ、その記録を保存する重要性を強調しました。

丸山今年から来年にかけて監査が入るのは間違いないという心構えを持ち、安全対策の記録等を見直しておくことです。
 特に点呼記録簿などは記載が抜けがちなものです。終業点呼などの記載漏れがないか、気をつけておきましょう。

 

 なお、監査では「運転者への指導及び監督の指針」に沿った教育の実施を厳しく問われます。
 皆さんに、指針に沿った教育テキストとしてシンク出版の作成した「運行管理者のためのドライバー教育ツール」の見本をお配りしましたが、このような教材を活用して、毎月、指針の11項目に沿った指導をすすめることが大切です。

 

 この教育ツールには、11項目について1項目ずつ教育する資料が掲載されていますので、毎月、ドライバーにコピーして渡したり掲示ができます。

 会社独自の安全活動はもちろん実施するとよいのですが、まず「指針」に沿った指導をしていないと、安全対策として評価されません。当社では、毎月テキストの内容を指導し、記録欄にドライバーの署名をとり教育記録として3年間保存していく考えです。
 体系的な教育を続けて行うということと、必ず印鑑や署名などして記録を保存するということが大切です。

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