<その2より続く>
休憩をはさみ、デルタ自動車四条教習所の小林幸治営業係長、吉田博史氏を講師に招き、「一般ドライバーからみたプロドライバーの印象」と題する安全運転講習を行いました。
まず、小林幸治営業係長から挨拶があり、「事故や違反を起こさないドライバーを育成するのが我々の目的であり、そのためには自分自身の運転行動を振り返って、改善すべき点を納得してもらい、今後の運転に活かしていただくことが大切です」と述べられました。
続いて、吉田博史氏によるドライブレコーダーの事故映像を使った講義が行われました。
吉田氏はドライブレコーダーに記録された左折時や右折時の事故映像を映し出しながら、一般のドライバーや、歩行者、自転車の方はトラックの特性や死角を理解していないので注意が必要であると訴えました。
吉田:トラックにはリアオーバーハングなどの構造上の特性があります。しかしながら、一般のドライバーの多くはこのことを理解していないので、左折する時などにそのまま直進してきて、トラックの後部と衝突する事故が起こっています。
このようなことからトラックドライバーとしては、ハンドルを切る前に後方を確認したり、ハンドルを切るタイミングをずらすといった対策が必要になります。
また、トラックには多くの死角がありますが、このことも一般の方は理解していないので注意が必要です。つまり、「自分は見えているから、トラックドライバーも私のことを見てくれている」といった意識の方が多いということです。
トラックには多くの死角があるので、どこに死角があるのかを理解することが必要ですし、ピラーの死角などは首を振れば解消できるので面倒がらずに確認することが大切です。
高速道路のトンネル内で発生した、居眠り運転による追突事故の映像も紹介されました。
トラックの運転手がウトウトしながらトンネル内に進入し、事故を起こして停車していた車に追突する直前「うわーっ」と声をあげ、停車していた車を破壊する生々しい映像が流れ、会場は一瞬静まり返りました。
吉田:このようにトラックの場合は車重が重いので、スピードの出る高速道路で事故を起こすと大惨事につながります。
とくに居眠り運転には注意が必要です。1番居眠り運転が多い時間帯は早朝、そして2番目は午後の1時から3時にかけてです。
早朝の眠気は、前日の睡眠不足が影響していますので、睡眠時間を確保することが重要です。午後の眠気は休憩して10~15分の短時間の仮眠をとると解消することが多いですが、これ以上の仮眠は眠気を増幅させてしまうので注意が必要です。
居眠り運転は重大事故につながりますので、ひとたび、このような事故を起こせば、自分の生活が台無しになると共に、社会に対しても大きな影響を与えるといったことを認識しておくことが大切です。
また、道路交通法の知識を問う質問が何問か出され、出席者に回答が求められました。停車の可否について問われた質問では、ほとんどの方が不正解になりました。
吉田:安全運転を行うには「意識、知識、技術」が必要です。このうち、どれが欠けても安全運転はできません。
ですから、知識がない人は道路交通法などを勉強しなければなりませんし、技術のない人は運転技術を高める練習をしなければなりません。
意識が欠けている人には、今日お見せしているような事故映像を見せることも1つの方法ですし、自分の生活や、仕事が低い安全意識のために一瞬にして台無しになってしまうといったことを理解させ、「心のブレーキ」を働かせることが大切なのです。
また最後に「運転手」は「幼稚園児が将来なりたい職業ランキング」において、「スポーツ選手」「警察官」についで3位にランクされる憧れの職業であることが紹介されました。
このような子どもの憧れの職業である「運転手」として、「プライドをもって安全運転に努めて頂きたい」と講義を締めくくられました。
【運行管理に関する講習会 データ】
<日時>
2012年5月19日(土)
<場所>
タカラ物流システム㈱本社4階会議室
<参加者>
パートナー企業19社、21名
<参加企業名──順不同>
アサヒロジ(株)、ヘイワ陸運(株)、(有)エムテック、美山運輸(株)、
(株)ドリームエキスプレス、(株)山上運輸、髙津建材(株)、日本商運(株)、
内藤運輸(株)、広和運輸(株)、浪速通運(株)、(株)平山商事、(有)丸中運送、
(株)中川運送、和歌山県輸送協同組合、木津運送(株)、丸善海陸運輸(株)、
関西海運(株)、グリーン物流サービス(株)
【平成24年5月24日更新 取材・編集/シンク出版株式会社】