平成28年3月12日(土曜日)、タカラ物流システム㈱本社4階会議室において、第11回「安全・品質・環境」発表大会を開催しました。
今年度は計12の選抜チームが、平成27年度中に取り組んだ「安全」「品質」「環境」に関わる小集団活動の成果を報告しました。
この大会は、事故・災害のない明るい職場の形成をめざすため、2006年から開催しているもので、当社における最も重要な社内活動の一つとなっています。
審査の結果、技能系部門では本社営業所、2班・5班合同グループによる「再認識Ⅴ~安全を持ち運べるまで~」が最優秀賞を受賞しました。
また、事務系部門は本社事務Cグループの「来客設備の見直し~お客様目線で見るタカラ物流~」が最優秀賞に選ばれました。
(表彰チームの一覧はこのページの一番下を参照)
上坂良秋社長は、開会の挨拶でまず宝酒造(株)の小集団発表会に当社のチームを派遣したことと、京都府警察本部から交通安全表彰を受けた件を報告しました。
■親会社の発表大会に参加
上坂 宝酒造株式会社の小集団活動発表大会は6工場合同の記念大会ということで、今回は当社にも参加依頼がありました。
工場の小集団活動は「トヨタ生産方式」などを取り入れ、工程の効率化、分刻みの短縮化などに取り組むものが多く、当社の活動とは少し意味合いが違います。しかし、「見える化」「マニュアル化」を明確にするためグループで活動する意図は通じると考え、1チーム派遣することにしました。
昨年度、当社で最優秀賞を受賞した西日本支社の事務部門による「残業時間の削減に基づく、事務作業効率化」などについて、松井さん、立和名さんに代表で発表してもらいましたところ、「専属業者の利益にも結びつく有意義な活動」と、大変に好評でした。
来年以降もぜひ、継続的に発表者を派遣してほしいという要望を受けています。
■人身事故ゼロで安全表彰を受賞
上坂 さらに、京都府警察本部と自動車安全運転センターの連名で、優秀安全運転事業所として、ティービー本社が表彰されたこともご報告します。
さる3月2日に表彰状の授与がありましたが、今回は対象期間内に人身事故は無事故、違反が1件のみということで、「銀賞」を受賞しました。
ドライバー25人に対してマイカー運転も含めた違反が1件というのは、違反率3%以上5%以内に該当し、とても良い成績であるという評価を受けています。
違反した本人はもう自覚していると思いますが、来年は、ぜひ全員で努力して金賞を受賞しましょう。
今年度は、過去最高益を記録するなど弊社は大きな成果をあげ、このような評価をいただいて、周囲からも大きく期待をされていることがわかると思います。
それだけに、改善活動なども厳しい自覚を持って取り組む必要があります。
■現状の分析をしっかりとして活動を
上坂 私は過去5回、発表を聞いていますが、年々レベルは向上していると考えています。
ただし、物流技術研究会のステップアップコンテストや宝酒造などで他社の発表を聞いてみると、当社が見習うべき点を感じることもありました。
1つは、発表の仕方や資料の作り方において「起承転結」がはっきりしているものが多くあり、活動内容が非常にわかりやすいということです。
2つ目は、すぐれた活動は現状の問題点の分析に時間をかけ、分析がきっちりしているという点です。しっかり問題点をとらえること、つまり活動の出発点が非常に大切だと感じました。
今後は当社の活動でもそうした点に力を入れていくといいでしょう。
■1人ひとりが一つの改善・改革に取り組もう
上坂 この1月に、長野県でスキー観光バスの恐ろしい転落事故がありました。バスの事故ですが、貨物運送事業にも共通する原因が必ずあると考えています。
報道によると「運転者の経験不足」「点呼ができていない」「基本的な安全管理の手抜き」などが指摘されています。
最低限守るべき安全の基本をおろそかにしていると、大きな事故に繋がるということです。
当社は、先程ご報告したように、周囲からも評価され期待されています。こうした時こそ、コンプライアンスを守るということがいかに重要かを意識していきましょう。1件の事故が会社の存続を危うくすることもあるのです。
事故防止には、皆さん一人ひとりが真剣に考え、行動していくことが大切です。そのためには、1つの改善、ひとつの改革というものに個々人が取り組んでいただきたいと思います。
最後に、発表は大きな声で元気よくお願いします。
■12テーマの活動を発表
平成27年度の小集団活動の成果として、技能系から6グループ、事務系からも6グループの発表が行われました。
審査は客観式5段階採点で、課長職以上の役職者・組合三役が審査を行いました。
12件の発表が終わった後、寺川隆志松戸営業所長が「大会スローガン決議」を行いました。
さらに冨田健史労働組合委員長がリードして全員起立による「ガンバロー三唱」が行われ、続いて丸山利明安全品質環境室長の発表が行われました。
■車線変更でも大きな事故の危険が
丸山 タカラ物流システム・TBでは平成27年度は9件の事故が発生しました。
昨年より3件増加していますが、幸い軽微な物損事故が大半でした。
ただし、事故の態様をみると、車線変更時とバック時の事故がそれぞれ3件と多発していることが特徴的です。
車線変更時の接触であっても、大型車の場合は損害額が大きくなり、もし人身事故になれば大きな被害が出る危険もあります。
また、バック事故では、バックアイカメラが整備されているにもかかわらず、3件ともカメラを見ないでバックして事故を起こしています。
基本的な運転動作に問題があるようですから、今後の課題としてドライブレコーダーによる画像診断で指導の必要な人を抽出し、実技指導を実施するドライバーを選定して、未然に事故を防止していこうと考えています。
■予期せぬ状況で目視などが抜け落ちる
丸山 ここで、簡単に車線変更の基本をおさらいしておきたいと思います。
車線変更のステップ1では、ウインカーを早めに出して3秒後に車線変更します。直前に出さないことが大切です。
ステップ2では、3秒間の間にしっかり安全確認をします。前方、バックミラー、そして、直接目視が重要です。
当社の車線変更事故は、この直接目視が抜けたことが原因となっています。
ステップ3では、ゆっくりと徐々に変更する車線に寄っていく。
ステップ4で後続車がブレーキをかけたのを確認する。後続車が車線変更に気づいてブレーキをかけてくれれば、安全にできたことになります。
ステップ5で後続車にお礼の合図をしましょう。
直接目視が抜けやすいのは、前車の速度について憶測を間違っていて、前を見たとき前車が異常に遅くなっているのに気づいて、追突しそうになり、あわてて車線変更をしたような状況です。
予期せぬ状況が重なったとき、基本動作が抜けやすいということも注意すべきポイントであると思います。
丸山 バック事故は、バックモニターカメラを見ていないことが原因ですが、バックの途中でハンドルを切っているときなどはバックモニターを見る必要はないと思います。
バックモニターは、バックして止まろうとする地点の3m手前になってから見れば良いのです。
3m手前でハンドル操作をすることは少ないと思いますので、あとはバックモニターを注視してくれたら、事故は防ぐことができるはずです。
■画像診断で予防安全に取り組みます
丸山 2016年度は、全社有車にドライブレコーダーを設置して、自動車教習所の教官などプロによる画像診断を実施していく方針です。
先程指摘したように、プロのアドバイスからみて「指導が必要」とされたドライバーを優先的に個別添乗指導を行っていくことなります。
こうした予防安全で事故ゼロを目指していきたいと思います。
■側方間隔や左折大回りなど、当社の
危険要因を指摘
丸山 なお、本社事務所の従業員16名のドライブレコーダーの画像診断を自動車教習所の指導員の方に実施していただきましたので、その結果を報告します。
16名の運転内容で、最も危険であると指摘されたのは、なんと70%の人が左側の安全な側方間隔がとれていない、確認をしていない、あるいは歩行者のすぐ横を速度を落とさずに走行しているということです。
とくに子どもやお年寄りの側方を走行する場合は、歩行者に対する構えの運転ができていない状態では、非常に危険だと指摘を受けました。
次に、63%の人は左折時の大回りが見られるので、膨らんだとき二輪車などと接触する危険があるということです。
自分は、しっかり目視確認しているから大丈夫だと思うでしょうが、先ほどの車線変更と同じように、何か別の危険要因があったとき、目視が抜けてしまうことがあります。
道を間違えて急に左折しようとするなど、他の要因が付け加わったとき左側が開きすぎていて事故を起こす恐れもあります。
集合教育では、こうした点を指導されたらよいというアドバイスを受けています。
■安全と健康は車の両輪
丸山 先程社長のお話にあったとおり、京都府警察本部から優秀事業所表彰を受けました。
この表彰は非常に役立ちます。Gマーク=安全性優良事業所の認定などにも有効なプラス要因となりますので、来年は事故違反ゼロでぜひ金賞をとりたいと思います。
なお、4月からティービーの点呼時に免許証を読み取る専用機器を導入し、血圧などの測定を点呼時に実施しますので、健康情報がデーターで管理できるようになります。
ドライバーの皆さんも年齢が上がってきていますので、健康管理もシステム化して、確実にやっていこうと思います。我々の仕事にとって「安全と健康」が両輪であることを強調しておきたいと思います。
■現状に満足せずに改善を進める
最後に、宮澤博亮取締役副社長が全体の講評を行いました。
宮澤 発表大会、お疲れ様でした。
小集団活動は当初、工場の生産現場での生産性向上や品質管理を目的として行われてきましたが、今や我々の流通業で盛んに行われるようになってきたことは皆さんご承知の事と存じます。
この活動の基本は、現状に決して満足せず、業務改善を進め、個々人の業務への取り組み意識や品質意識を更に高め、「適正な労働環境の構築」であると考えます。
今回、11回目となり計12チームの成功事例発表をお聞きし、特に、QC活動の名前の通り、実仕事への改善提案を主とし、現状把握をした結果、コミュニケーション不足や情報の共有化ができていない事を改善しようという事例が多く見られました。
全ての発表が甲乙付け難いすばらしい事例です。これからも小集団活動を継続し、改善提案を増やしていく事がもっとも大切なことと思います。
■覚低走行と仮現現象に注意!
なお、最近安全という観点から注目すべき記事がありましたので、ご紹介させて頂きます。
「高速道路の路肩に停止中の車両への追突事故」という記事で、トラックに多い事故原因の一つとして、「覚低走行(かくていそうこう)」と「仮現現象(かげんげんしょう)」による追突ではないか?との分析があります。
長距離運転では、周辺の景色が早いスピードで流れ、その刺激にドライバーの目は慣れて疲れ、自然に前方車両を追う形になり、時間経過とともに居眠り運転に近く注意力が低下した「覚低走行」に陥る、というものです。
さらに、緩やかなカーブ等に差し掛かった時、路肩に停止中の車両を走行中の車両と勘違いして衝突する「仮現現象」で大事故につながるケースが多く見られる、との報告が多くあがっています。
弊社では4時間連続運転毎に、30分間の休憩を取るよう義務づけています。パーキングエリア等での適時休憩が事故ゼロへの基本です。引き続き、適格休憩で安全運行をお願いします。
これからも「安全・品質・環境」の新しい課題に取り組んで頂き、意識改革の心を忘れることのないようお願い申し上げ、講評といたします。
有難うございました。
今回も審査が伯仲しましたが、技能系6チーム、事務系6チームのなかから、最優秀賞2チーム、優秀賞4チーム、特別賞2チームが表彰され、各受賞者に上坂社長から賞状の授与が行われました。
本社2班・5班に最優秀賞を授与
本社事務Cグループに最優秀賞を授与
技能系の最優秀賞は、毎回ビデオによる発表を行う2班・5班の合同発表です。
「ウィング車の荷台への昇降りの安全な足場」が整備されていないという問題点に着目し、専用の足場を設置することからスタートし、その足場(ハシゴ)のもつ問題点も検証して改良し、車載用に制作して1台ずつ積み込めるように改良した実践です。
大手企業では構内に昇降用足場はあるものの、滑りやすかったり降車時に危険だったりします。
滑り止めや持ち運びできる柱をつけるなど、ドライバーの声を聞いて改良し、しかも安全に車載できるようにしたことは、社内の仲間にも大きな反響がありました。
事務系の最優秀賞は、本社事務 Cグループの発表です。
「お客様目線で見るタカラ物流」ということで、今までは社員目線の改善活動だったものを、視点を変えて、顧客満足度を高めるために来訪するお客様の立場に立って本社の受付から構内表示、トイレ、設備、パンフレット置き場など全てを見直した実践です。
「お客様目線チェックシート」を作成し、顧客の目線で今まで気付かなかった改善点が見つかり、何度も改善を繰り返した結果、来客対応の向上だけでなく社員にとっても便利な設備・環境となるなど様々な成果が見られました。旅行パンフの改善は申込みの増加にも結びついています。
【技能系グループ】 | ||
◎最優秀賞 |
本社2班・整備5班合同 |
「再認識」~安全を持ち運べるまで |
●優秀賞 |
松戸営業所Aグループ |
「東ロジ改善」 |
●優秀賞 |
本社営業所1班 |
「強い身体づくり」 |
☆特別賞 |
松戸営業所Cグループ | 「安全で完全な養生」 |
【事務系グループ】 | ||
◎最優秀賞 | 本社事務 Cグループ |
「来客設備の見直し」 ~お客様目線で見るタカラ物流~ |
●優秀賞 | 西日本 Bグループ |
「受注品質の向上とミス削減の取り 組み」 |
●優秀賞 | 東日本 事務Eグループ |
「電話帳作成 ~1F事業所の時短を 目指して~」 |
☆特別賞 | 西日本 Aグループ | 「パレット不足解消への 取り組み」 |